前記事のコメント欄にて、こんな質問をいただきました。
| |
1)省エネ電球に変えると、当然昼間も省エネし続けてくれるので、自動的に昼間のピークがさがっていく、ということになりますか? 2)省エネ電球に買い換えるほうがエコか、今あるものを使い続けて切れたときに買い換えたほうがエコか? 3)原発の核ゴミ処理の方法が確立していないことは、どうお考えですか。 |
|
これらは、Team GoGo 2007の記事に関してのことだと思いますが、彼らのホームページもだいぶ更新されてきたようです。
ただ、相変わらず温暖化を食い止めたいのか、青森県の六ヶ所村の再処理工場に反対しているのか、はたまた号外を撒きたいのか、趣旨・軸がぶれているようで、よく分からない状態のようです。
※このホームページでは、基本的には彼らのことを応援したいと思っています。
※そこで、彼らの行動が無駄にならないように、Team GoGo 2007 の矛盾や不明点・無意味な解決策・論理破綻しているところを指摘しています。
本来であれば、これらの質問に対しては、Team GoGo 2007のHPの中に根拠として書かれるべき内容なのですが、応援の意味もこめて当HPで論拠を計算してみましょう。
| ■ エコ電球に変えることが車何台分の CO2 削減に相当するか? |
この質問は、比較的簡単に答えられるかと思います。
さて、Team GoGo 2007のHPの中では、消費電力が従来の1/8のエコ電球、とあります。
しかし、世の中に1/8の消費電力になる電球ってあるのでしょうか・・・?
いろいろ探してみましたが、
100W → 22W
60W → 12W
相当の省エネタイプモノもしくはエコ電球とうたっているものしか見つかりません。。
エコ電球:エコリカ 電球型蛍光灯
また、逆にいまどきは54Wで60Wの明るさ、90Wで100Wの明るさという白熱電球しか存在しないわけで、実際の削減効率は7割程度として計算するのが妥当な気がします。
90W → 22W(削減率約3/4)
54W → 12W(削減率約7/9)
《参考記事:電球型蛍光灯はエコプレミアムか》
しかし、1/8に置き換える、とTeam GoGo 2007 のHPでは仮定しているので、その数字を使ってみることにします。
たぶん、100Wの発熱灯を13Wのものに置き換えることを想定しているのでしょう。
簡単に計算すると、
(100 - 13)(w/h) × 4900万世帯 = 4,263,000 kw/h
だいたい毎時約4百万キロワットの電力削減量ですね。
さて、この4百万キロワットを発電するのに、どのくらいのCO2を出しているのか計算してみます。
石炭火力発電所が 1kw/h 発電する際の CO2排出量は 975g (出展:電力中央研究所)ですから、
4,263,000 kw/h × 0.975 kg = 4,156,425 kg
毎時約4千トンのCO2削減効果があるということになります。
(定常運用時限定で考え、発電所を作るときに排出されるCO2は無視します。)
毎時4千トンのCO2って言われても、ちょっとピンとこないですよね。(^^;
そこて、車何台分に相当するか、計算してみます。
車が1時間当たり 25km 走るとして(都市部では20kmらしい)、世界標準車(2000年)だと、1kmあたりCO2排出量が179.5g(ホンダ社提供値)から考えると、
4,156,425 kg ÷ (0.1795 kg/km × 25 km/1台 ) = 926,223 台(約92万台)
という結果が出てきました。
う~ん、すごいつじつまあわせ。(^^;
そして、なんともツッコミどころ満載の計算式。
たぶん、Team GoGo 2007 では、別の方法の計算なんだとは思いますが・・・
だいたい、1/8になる電球がないのですから、その点を換算して1/4になるとすると、46万台の削減効果、と言ったほうが誇張でなくなるから良いのではないのかな?という気がします。
ただ、あまりにもツッコミどころが多かったので、再度きちんと計算してみます。
とりあえずミクロ視点で計算しましたので、今度はマクロで計算してみます。
まず、発電所の電力量。
2006年エネルギー経済統計要覧(日本エネルギー経済研究所)のデータを用いて計算します。
日本の発電量は年間、10,100億KWです。そのうち、家庭用が 2,800億KW。さらに、家庭用のうち、照明で使われるのが 500億KW。
家庭内での白熱電球・蛍光灯の比率がだいたい 1:3。白熱球平均個数4.3個。
(内閣府:国民生活審議会調べ)
上記リンクの値をそのまま使って、427KWのモデル家庭で年間消費が、白熱電球1つを交換したとすると、削減量は
(60W - 12W)× 1個 × 3.886 h ÷10=18.6 KW
年間427KW使うのがモデル家庭ですから、結論として全世帯が各家庭で1つ、エコ電球に取り替えた場合の家庭全体の削減量は、
500億KW × 18.6 / 427 = 21.8 億KW
となります。
さて、
これを現在の電力のベストミックスの比率をそのままと考え、その内の火力で削減できるCO2の削減量として算出してみます。
それぞれの発電量とCO2排出量は以下の通り。(2001年度の数字です)
※夜間電源は原子力が使われるので無意味と前回書きましたが、ベストミックス比率を流用することで夜間電源分を吸収するものとします。
| |
発電量 単位:億kw |
|
1kwあたり Co2排出量 単位:g/kw |
トータルで の排出量 単位:億kg |
| 原子力 |
1,267 |
44% |
0 |
0 |
| 水力 |
210 |
7% |
0 |
0 |
| 石油 |
218 |
8% |
742 |
161.8 |
| 石炭 |
112 |
4% |
975 |
109.2 |
| LNG |
1,072 |
37% |
608 |
651.8 |
| 合計 |
2,879 |
|
|
922.7 |
合計:2879億kwあたりのCO2排出量 922.8億kg
※太陽光、風力、バイオマスは微々たる発電量なので無視します。また、厳密に言えば、原子力のランニングでもウラン採掘等により、CO2は排出されますが、ここでは無視します。
※比率を計算するためのものですので、東京電力データ(2001)を利用
※東電データなので、若干原子力比率が日本平均より高くなっていますが、将来はこのくらいの数字になる見通し。
よって、全世帯の1つの電球を白熱球に替えると、
21.8 億KW ×(922.8億kg / 2879 億KW) = 6.99億kg(年間)
のCO2削減に相当すると計算できます。
さて、この数字とマクロで見た車の排出量とを計算してみます。
日本の家庭における乗用車台数:7900万台(国土交通省)
自動車のCo2排出量:2332.5億kg(2002年度)
出典:温室効果インベントリオフィス(GIO)資料より
よって、電球をエコ電球に変えた場合の削減量が、自動車の何台分に相当するか、というと(マクロ視点での計算版)
6.99億kg × (7900万台 / 2332.5億kg)=23.7万台
マクロ視点では23万台程度の削減効果、という結果が出ました。
(ちょうど92万台の4分の1くらいですね)
う~ん、数字のお遊びをしてしまいました。(^^ゞ
さすがに92万台は誇張表現だと思いますが、マクロ視点で見ても23万台の削減効果はありそうです。
ただ、23万台だろうが、92万台だろうが、どちらにしても大した話ではないかもしれません。(どっちにしても机上の計算で微々たる数字だから、という意味です)
結論としては、
-
以前は、夜間電力は原発によってまかなわれているので無意味、と書きましたがそんなことはないようです。(すいません。)
-
理由は、エコ電球による削減効果は、21.8 億KWとした場合、全発電量から見て微々たるもの(1%未満)なので、その分くらいは夜間でも火力が動いている分で十分まかなえると思われるからです。
-
結果として、日本の全世帯で1つをエコ電球に取り替えることができれば、日本の車両登録台数7900万台のうち、23万台分くらいの削減効果は生むようです。
全体から見れば微々たる効果かもしれませんね。
しかし、そうは言ってもやらないよりはマシ、取り組むべき活動だと思います。
もちろん、エコ電球だけでなく、他にも自宅でカンタンにできる、取り組むべき地道な活動はたくさんあります。(リンクの第3-18 -[1]表のあたりに書いてあります)
早速我が家でも、、、と思いましたが、既に我が家の白熱電球(4つ)は全て省エネタイプ(12W)になっておりました。。orz
ご協力できずに申し訳ありません。
って、、、あれ??(^^;
| ■ 質問2:省エネ電球に買い換えるほうがエコか、今あるものを使い続けて切れたときに買い換えたほうがエコか?(以前、計算式があったように思います) |
長くなってきたのでここからは手短に質問に対して考えていきたいと思います。
恐らく、ご質問者は勘違いされているのだと思いますが、こんな計算式は存在しません。たぶん、経済的かどうか、という観点での計算式と勘違いされているのでしょう。
経済的かどうか、という観点であれば計算が可能ですが、エコかどうか、という観点だと、ランニングコスト分のCO2発生だけでなく、生産時のCO2や資材調達分も計算しなければならず、非常に複雑な計算になります。しかも、個別の電球で見た場合、既に何時間使っているか、何Wのタイプかによって結果は全く変わってきますから。。。
ただ、上記の質問を言い換えて考えてみれば答えは簡単。
エコかどうか、というところを“資源の有効活用かどうか”と置き換えてみます。
“今、あるものを捨てて新しいものに変えることは、資源を無駄に使っているのか、それともトータルで資源を有効活用しているといえるでしょうか?”
答えは簡単ですね。(^^)
もったいないことは、しないようにしましょう。です。
経済的かどうか、と問われれば、買い換えた方が経済的な場合もあるでしょう。
しかし、地球環境保全・温暖化防止のための活動は、非経済であることが往々にしてあります。
これは、今の経済原理が、地球の資源を食いつぶすことで成り立っている以上、仕方ないといえる面があります。
ただ、環境を維持しつつ、その中に経済を組み入れる取り組みは既に始まっています。
京都議定書がその試みの一つ、ですね。
しかし、京都議定書も、取り組みが始まったばかりの話なので、穴だらけ、無意味なことだらけ、です。
この話については、今後書いていくことにしましょう。
とりあえず、予告編として問題提起だけしておきます。
-
京都議定書は地球にとって本当に有効なの?
-
京都議定書に批准しなかったアメリカを非難する風潮があるけど、アメリカだけが悪者なのか?
-
じゃぁ、根本的に解決するにはどうしたらいいの?
特に2は、“京都発”と名前がついていることもあって、多くの日本人が最上の策のように思っている節がありますが、この取り組みはCDM(クリーン開発メカニズム)の一環で、たまたま(と言ったら語弊があるかもしれませんが、、)京都会議の時に締結された仕組みであって、結構長い歴史があります。
一応、人類の英知が結集しているハズなのですが、まだまだ抜け穴だらけ・・・
まだまだCDMは、しっかりと考え、より有効なものにしていかなければなりません。
そんな活動、待ってられないよ!ライフスタイルを変えれば良いんだ。みんなが動けばいいんだ!
と、しびれを切らした人が“動けば問題は解決する”と思っているようですが、山火事に対してひな鳥が口で水を運んで山火事を消せるのはおとぎ話の中だけです。
(この話もそのうちこのブログで取り上げたいと思います。)
| ■ 質問3:原発の核ゴミ処理の方法が確立していないことは、どう考えるか。 |
Team GoGo 2007 が温暖化防止を考えているのか、核問題を考えているのか、論点がいま一つはっきりしないこの質問。
技術が確立してないからといって、Noを叫んだら、いつまで経っても技術は確立されません。しかし、多大なリスクを抱えて技術に突っ走るのは問題外。
リスクを上手くコントロールして、最小限のリスクに抑えながら、その中で技術開発していくのが人類が発展するための唯一の手段です。
ただ、そうは言っても以下のような疑問を持つ人がいます。
-
核廃棄物を地中に埋めるくらいなら、宇宙に捨てちゃえば?
-
原子力が無くても電力は足りるんじゃないの?
-
六ヶ所村でプルトニウムを再生性しなくても、原子力発電は使えるでしょ?
ごもっともな疑問です。
これらの疑問は、ある意味正しいです。
しかし、ちょっと深く考えれば、なんと浅い疑問であることか。。。
以下に理由を書きます。
1)核廃棄物を地中に埋めるくらいなら、宇宙に捨てちゃえば?
打ち上げが100%安全であれば、この方法も取りえることでしょう。
しかし、10万kmの大気圏外に出るまでに打ち上げたロケットが爆発してしまったら・・・。それこそ大惨事です。
というリスクがあるため、宇宙に捨てる行為に及べないのが現状だと思います。
(決して宇宙が汚れるから、とか、どこに捨てても一緒だから、とかいう理由ではありません。)
2)原子力が無くても電力は足りるんじゃないの?
日本の状況では、十分足ります。電力量の観点だけで言えば、夏場もなんとか乗り切れなくもありません。(2003年の時には、東京電力の原子力発電所が17基中16基止まっていましたが、、、かなり危険でしたね。)
こちらで元慶応大学助教授が同様の質問へ回答をしていますね。
現在の電源は、火力(石炭・石油・LNG)・水力・原子力、あと風力、太陽光、バイオマス、など様々な電源供給方法が取られています。
これは、どれか一つが失われても代替手段で電力を提供できるように、ということからこの方法が取られているようです。(参考:ベストミックス)
株式でも、リスクを分散するためにポートフォリオを組みますが、それと同じ理由ですね。
藤田先生の記事では、“原子力にすればCO2が出ないから、と言っているが、私に言わせれば原子力のリスクの方が大きい!”と博士はおっしゃってます。
確かに、チェルノブイリ周辺の汚染地域の調査を行ったりコソボ紛争地域で劣化ウラン弾の調査を実地で行ってきた方なので、放射能に対する危機意識は身にしみてらっしゃる方なのだと思います。
しかし。
原子力をやめて全て火力にした場合、70歳近くのおじいちゃんが生きている時代は大丈夫かもしれませんが、私の子供の世代では火力によって排出されたCO2によって温暖化がさらに進んでいることでしょう。
先ほどの記事では、その点についてはついては一切言及されていないようです。
無責任すぎませんか?おじいちゃん。
だからと言って、全て原子力に頼るのも危険。
燃料のウランは海外に頼っている以上、ウランが輸入されなくなったら日本の産業が終わってしまいますし、そもそも危険であることには変わりはありませんので、リスクをハンドリングできる範囲で運用するのがベスト。
そして、リスクが最小限になるように抑えて、その間に技術力を高める。
決して、原子力が良い悪いの二元論で考えてはいけない問題なのです。
3)六ヶ所村でプルトニウムを再生性しなくても、原子力発電は使えるでしょ?
もちろん、使えます。
しかし、数に限りがあります。
今の地球のエネルギー埋蔵量は、石油があと40年というのはわりと有名ですが、ウランもあと80年強分くらいしかありません。
当然、石油が少なくなってくると、その分ウラン需要があがるでしょうから、実際はもっと短くなるかもしれません。

そこで、再処理工場です。
ウランを再処理すれば、利用年数は500年になるとされています。
要は、あと40年で石油がなくなるわけで、その前までにはウランの再処理技術を高めておく必要があるのです。
もちろん、放射能に汚染されてまでやるのでは、本末転倒。
ですから、徐々に少しずつ、技術を開発していく必要があるのです。
Team GoGo 2007 及び美浜の会の広報資料を見ると、“六ヶ所村がフル稼働されれば・・・”といううたい文句がやたら出てきます。そして、六ヶ所村は停止すべき、というのが彼らの主張のようです。
しかし、この方々は、上記のことを分かってない(世の中の論点を理解していない)のか、分かっていながら世間を煽っているかのどちらかだと言えます。
(通常は、いい大人なので、後者とみなされます。そして、その裏には利権が絡んでるんじゃないの?と痛くない腹を探られるのがオチ。だから信用できないんですね。)
どうか、Team GoGo 2007 のみなさん。前回も書きましたが、
1)温暖化防止のための活動なのか、原子力反対の活動なのか、趣旨を統一すること
2)誇大広告はしないこと
3)論点を正しく捉えて、無意味な宣伝はしないこと
をぜひやっていただきたいと思います。