「新任CIOが最初の2カ月でなすべきこと」というタイトルで、一つの記事が IT Proに乗っていました。
また、同じくITProですが、関連して「増える「責任を取らないCIO」」という記事もありました。
どうやら、最近はCIOの役割というところが脚光を浴びているの、かな? (そういうわけではなく、たまたまなのでしょうけれど)
最初の記事によると、新任のCIOは、以下の7つのことをすべき、だそうです。
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IT部門の組織と職制を把握します。
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重要なITプロジェクトを把握します。
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IT業務に関するルールを収集します。
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IT部門に対する経営トップ,他の経営幹部の評価を明文化します。
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監査人の意見を聞いてみましょう。
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2007年度のIT部門の課題を整理しましょう。
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以上をまとめて経営者に報告しましょう。
この記事を書いてらっしゃる方は、アーステミア(有)という会社の代表取締役で、今までいろんな会社さんに対してコンサルティングをされてこられたのでしょう。
ただ、IT Proの記事は大勢の方が読む記事ということで、非常に薄まっている感があります。また、この記事は、CIO向けに書いているのではなく、CIOがすべきことを知りたがっている若手コンサルタント向けにこの記事が書かれている節がありますので、読者はその点を間違わずに読まないといけませんね。( ^ー゜)b
(IT Proの記事ですからあたりまえなのですが・・・(^^;)
なぜかというと、あまりに一般論すぎるので、経営者に報告したときに、社長からは次のように言われるに決まっています。
“なるほど。課題はわかった。
で、お前は何をしたいんだ?”
2ヶ月間かけて調査して、それでこの質問に答えられなければ、当然CIO失格の烙印を押されてしまうことでしょう。
先の1~7の項目は、1千万円くらいでコンサルティング会社かITベンダーが1~2ヶ月間でコンサルティングをするような内容です。それ自体は重要な情報なのですが、一番重要なのは方向感。
IT部門をコストセンターと捉えて筋肉質の体制を作り上げるのが良いか、はたまた収益に貢献するプロフィット部門へ密接する部署と捉えて積極的な投資を行うのか。
自社の状況を踏まえて、IT部門・IT投資をどうしたらいいかに答えをだすのがCIOの役割のはず。
現状を分析して報告するだけなら、外部に頼んでも十分できるでしょうし、ましてや,「IT部門の現状と課題」なんて立派なレポートをもらっても、経営には何も役に立ちません。
経営者として欲しいのは、すごく単純な質問。
“ITにお金かけたほうがいい?それとも、かけなくても済む?”
に答えるだけです。
ということで、何を考えれば、この質問に答えられるのか、IT Proの記事をもう一歩踏み込んで考えてみることにします。
流通業や広告業、金融業などの多くの企業にとっては今やITは必要不可欠。ITによって収益がもたらされていると言っても過言ではありません。
一方、もちろん製造業、ユーティリティ、サービス業などでもITは活用されます。しかし、その使われ方は収益の源泉になる、というよりも、人手でやるよりも(はるかに)効率が良かったりとか、無駄なコストを削減するための、いわば守りの投資だったりします。
この“守りの投資”に相当するIT投資としては、いわゆる一般的な“基幹システム”があります。
この“基幹システム”は、投資をたくさんすればその分見返りがあるか、というとそうでもなく、どちらかというと投資(金食う)の割には役に立ってんだかどうなんだか?という会社さんが多いようです。
それもそのはず。
基幹システムを入れたのに、結局人件費が下がるどころか、システムのおもりだなんだで、保守要員が増えたり、現場でシステム入力担当者が必要だったりで、コストが増えてしまってる状況が往々にしてあるからです。でも、その割には売上は伸びないし、営業現場も逆に負荷が高く、とてもトータルでコストが下がっているとは見えません。
しかも、情報システム部が出してくる「試算効果」はと~~ってもうさん臭くって、とてもじゃないけど信用ならない、ときたもんだ。
こんな投資、本当にやる意味あったのか?と普通の神経を持ち合わせていれば思うはず。そして、IT担当は、自分の仕事を増やしているだけじゃないの?と勘ぐられてしまうのがオチ。
・・・という課題を2ヶ月間かけて調べるまでも無いですね。
新任CIOは最初の2週間で把握しましょう。
そして、後の2週間で、ITが本当に必要なのかどうか、理由を考えましょう。
IT Proの記事にある7つの事は、必要といえば必要(あれば良いレベル)なので、外部ベンダーにやらせるか、若手に調べさせましょう。
何も、高い年収をもらってる新CIOが自らやる必要はありません。
ITが収益に貢献している会社さんの場合(例:セブンイレブン、アスクル、ツタヤ等)は、今後どんな分野が投資の対象になるかによってITが必要かどうかが分かれるでしょう。
これは比較的難しくなく考えられるはずですが、最後の最後は本当にうまく行くかは誰にもわかりませんので、その部分を経営判断に委ねることになると思います。
(例:DoCoMo がiモードを始めたときには、誰もそんなニーズがあるなんて思わなかった。しかし、経営判断で始めて大成功)
さて、難しいのは収益貢献ではなく、効率向上の場合。
一般論になってしまいますが、現在(2007年)で、CIOが答えるべきITが必要なわけは以下の通りです。
1)SOX法に対応するため。
2)情報を可視化(みえる化)して、経営に役立てるため。
3)上記2つによって、社会責任が果たせるから。
もちろん、コストが下がる、ってのもあります。
その場合、“じゃぁ、いくら下がるんだ?”って聞かれますが、たいていの会社さんでは「エンピツなめなめ」効果をはじき出すもんだから、その謳った効果がさっぱり出ずに、嘘つき呼ばわりされた経験を持つ情報システム部門の方は多いはず。
中には、リコーさんのように、効果を全て定量化なんてやってる会社さんもあるようですが(by 日経情報ストラテジー 2002年の頃(?)の記事)、そこまで嘘に嘘を重ねてつき通せれば大したもんです。
ただ、上記の3つでは、理由としては弱いなぁ、とお思いの方、大正解です。
よくわかんない“社会責任”なんて言葉を持ち出されても、“じゃぁITに投資すれば、僕はテレビで頭を下げることがなくなるんだね?”と言われて、“はい、そうです”なんて答えた日には、不二家や関西TVのCIOは大嘘つきということになるわけです。
(もちろん、そんなことはありません。)
「見える化」も最近流行のキーワードですが、そもそも見えてないほうがおかしいわけで、それをITで使ってできるのは一部分。何が見えてなくて、何が見えているのか、本当に知っていれば、大半の原因はITの問題ではないはずです。
一般的には、IT投資は売上の1%~3%くらいと言われていますが、これも参考程度にはなりますが、根拠にはなりません。
果たして、IT投資の必要性はなんなのか?
個人的には、もはや必要不可欠なインフラなので、弱い根拠(でも嘘にならないレベル)を多々並べて、
“食事と同じで、一般の家庭にはエンゲル係数があるように、会社にはIT投資係数があります。うちの会社の性格を考えて、無駄なことはしないように、堅実な投資をしていきたいと思いますので、○○億円の予算が必要です。”
と答えるのが良いのでは?と思う今日この頃です。
最後に、本物のCIOはどういうことを考えるかというお手本のような記事を見つけましたのでご紹介します。
さすがNTTの元常務。器が大きいですね。CIOとは若干職位が違いそうですが、考えているのは似たような内容。
このくらい真っ当に答えることができれば、経営者も納得するというもの。ご参考にどうぞ。
(特に4ページ目が読み応えがありました)